新発売となったRSウイルス感染症予防のワクチン 「アレックスビー」 について|西早稲田ライフケアクリニック|新宿区高田馬場の糖尿病内科・内科

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新発売となったRSウイルス感染症予防のワクチン 「アレックスビー」 について|西早稲田ライフケアクリニック|新宿区高田馬場の糖尿病内科・内科

新発売となったRSウイルス感染症予防のワクチン 「アレックスビー」 について

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この記事では、RSウイルス感染症とそのワクチンである 「アレックスビー」 に関して、解説します。

本日のポイント

  • RSウイルス感染症は、年齢を問わず生涯繰り返し発症する呼吸器感染症である。
  • 成人のRSウイルス感染症に対する特定の治療薬はない。
  • 「アレックスビー」 のRSウイルス感染症に対する予防効果は、60歳以上で82.6%、基礎疾患がある60歳以上で94.6%と報告されている。
  • ワクチンの対象者は60歳以上、接種回数は1回で、筋肉注射である。

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RSウイルス感染症とは?

RSウイルス感染症は、ほとんどの方が2歳までに感染し、その後も年齢を問わず、生涯繰り返し発症する呼吸器感染症です。

乳幼児の感染症として有名ですが、高齢者でも感染することがあり、死亡者数が多い感染症の一つでもあります。

感染経路は、飛沫感染・接触感染で、結核のような空気感染ではありません。

※ 飛沫感染:感染者の咳やくしゃみなどのしぶきを吸い込むことで感染する。                 ※ 接触感染:ウイルスがついた手や物を触ることにより感染する。

潜伏期間は4~5日間で、成人の方が感染すると、咳や発熱、鼻水などの症状を認め、多くの方は数日で症状は改善します。

しかし、高齢者の方や糖尿病、喘息などの基礎疾患がある方、免疫機能が低下している方は、肺炎などを合併して重症化する場合があります

糖尿病の方は、基礎疾患がない人に比べるとRSウイルス感染による入院率が2.4 ~ 11.4倍も高まることが報告されています (Branche AR et al: Clin Infect Dis 2022; 74(6), 1004-1011)。

RSウイルス感染症の治療と予防

現時点では、成人のRSウイルス感染症に対する特定の治療薬はありません。             解熱鎮痛剤や水分補給などの対症療法が基本的な治療法になります。

RSウイルス感染症を予防する対策は、以下になります。 

①マスクを着用する

②手をこまめに洗う (20秒以上かけて)

③ドアノブやパソコンなど、よく触れる表面を消毒する

④人との接触を控える (握手や食器の共有など)                                                              (厚生労働省RSウイルス感染症 Q&A 令和5年9月28日改訂より) 

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そんな中、60歳以上を対象としたRSウイルス感染症予防のワクチン 「アレックスビー」 (グラクソ・スミスクライン株式会社) が発売されました。

「アレックスビー」 の効果と安全性

「アレックスビー」 のRSウイルス感染症に対する効果と安全性に関する、国際共同第Ⅲ相試験 (RSV OA=ADJー006試験) の結果が以下になります。

60歳以上の成人24,966例 (日本人1,038例) を対象として、追跡期間の中央値 6.7ヶ月において、

下気道疾患初回発現に対して、82.6%の有効性あり

1つ以上の注目すべき併存疾患がある方の下気道疾患初回発現に対しては、94.6%の有効性あり。                     

※ 慢性閉塞性肺疾患 (COPD)、喘息、慢性呼吸器/肺疾患、1型または2型糖尿病、慢性心不全、進行した肝疾患または腎疾患

接種後に起こった副反応として、一番多かったのが注射部位の痛み (60.9%) でした。

その他の副反応としては、頭痛 (27.2%)、筋肉痛 (28.9%)、疲労 (33.6%)、関節痛 (18.1%) などが報告されています。

「アレックスビー」 の対象者と接種回数

「アレックスビー」 の対象者は原則 「60歳以上の方」 となっています。

糖尿病や喘息など、基礎疾患を持っている方は積極的に接種を検討することが良いと思います。

接種回数は1回で、筋肉注射になります。

基本的に他の予防接種と間隔をあけずに接種することが可能です (ただし新型コロナワクチンは、現時点では2週間あけて接種する)。

1回接種で、どのくらい効果が持続するかは、まだ不明であり、今後の研究結果が待たれます。

 

以上、新発売となったRSウイルス感染症予防のワクチン 「アレックスビー」 について、という話題でした。
この記事が、皆様の生活 (ライフ) のお役に立てれば幸いです。
最後まで読んでくれて、ありがとうございました。