
花粉症治療
花粉症治療
当院では、重症または最重症の季節性アレルギー性鼻炎 (スギ花粉症) の患者さんに対して、抗IgE抗体製剤であるゾレア (一般名:オマリズマブ) を皮下注射する治療 (保険適応) を開始しました。
ゾレアは、生物学的製剤 (生物から産生されるタンパク質などの物質を応用してつくられた医薬品) の抗IgE抗体製剤です。
ゾレアは花粉によって産生されたIgEと結合し、IgEがマスト細胞と結合できなくすることで、アレルギー反応を元から抑えることができます。
病気に関連する物質にピンポイントで作用するため、これまでの治療法で治療困難であった患者さんでも症状改善が期待できます。
しかし、製造工程が複雑であるために薬の値段が高いことと、注射の痛みを伴うというデメリットがあります。
※投与期間は、スギ花粉飛散時期である2月〜5月の3ヶ月間程度になります。
ゾレアの治療を行うためには、下記の条件を満たしていることが必要になります。
妊娠中および授乳中の方は、医師に相談が必要です。
ゾレアの投与前には、抗ヒスタミン薬、点鼻薬などによる既存治療薬での治療と血液検査が必要になりますので、投与前に数回外来を受診していただく必要があります。
1
1回目受診
2
2回目受診
3
ゾレアの投与量/投与間隔と自己負担額が決定します
※ゾレアの投与量・投与間隔 (薬剤費) は、初回投与前の血清中総IgE濃度および体重によって決定されるので、患者さんごとに異なります。
お電話にて、ゾレアの投与が可能かどうか、投与量と投与間隔、料金についてご説明します。
4
3回目受診
主な副作用は、注射部位の赤みやかゆみ、腫れです。
また、ごくまれにアナフィラキシーショックを引き起こす可能性があります。
アナフィラキシーの症状として、呼吸困難、蕁麻疹、失神、立ちくらみ、血圧低下、全身のかゆみ、くちびる、舌、のどの腫れがあり、注意が必要です。
スギ花粉症の鼻炎症状に対して、既存の治療法では治療効果がなく、苦しんでいる方は、気軽にご相談ください。
毎年春になると多くの人々を悩ませるスギ花粉症。
鼻水、鼻詰まり、くしゃみ、目のかゆみなど、その症状は日常生活に大きな影響を与えます。
スギ花粉症の根本的な治療法として注目されているのがアレルゲン免疫療法の1つである「舌下免疫療法」です。
当院では、スギ花粉症の患者さんに対して、アレルゲン免疫療法(減感作療法)である「シダキュア」を舌下投与する治療 (保険適応) を開始しました。
「シダキュア」の開始時期は、スギ花粉の飛散時期を避けなければならないので、6月から11月頃になります。
「シダキュア」は、スギ花粉症に対する舌下投与のアレルゲン免疫療法(減感作療法)薬で、スギ花粉より抽出したアレルゲンエキスが含まれています。
アレルゲン免疫療法とは、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少量ずつ、長期間にわたり投与していくことにより、アレルゲンに曝露された場合に引き起こされる症状を緩和していく治療法です。
アレルゲン免疫療法は、「長期寛解、臨床的治癒」が期待できる根治的治療である一方で、治療期間は一般的に3〜5年と長く、対症療法のような即効性は期待できない特徴があります。
治療効果としては、スギ花粉症の症状が軽減されたり、薬剤の使用量を減らすことが期待できます。
また副作用として、アナフィラキシーなどのリスクがあり、効果的な治療を進めていくために、安全性に配慮しながら、治療中の注意点など詳しい説明を受けることが重要です。
※ アナフィラキシーとは、アレルゲンなどの侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応になります。
「シダキュア」による治療の対象は、スギ花粉症の患者さんになります。
くしゃみ、鼻のかゆみ、鼻漏、鼻閉、目のかゆみ等の症状の有無、既往歴や合併症等に関する問診に加え、皮膚反応テストまたは特異的IgE抗体検査のアレルギー検査を行い、スギ花粉症の確定診断をする必要があります。
「シダキュア」投与により喘息発作を誘発するリスクがあるので、不安定な喘息を合併する患者さんは治療を受けられません。
また治療に際し注意が必要な患者さんとして、以下の患者さんが当てはまります。
さらに舌下免疫療法による治療は、長期にわたり、毎日服用する必要があります。
自宅での服用となるため、副作用が起きた際は、患者さん自身による適切な対処も必要となります。
舌下免疫療法を希望される方は、以下のポイントを理解していただき、治療を受ける意思を確認してください。
当院で舌下免疫療法「シダキュア」を開始する際には、いくつかのステップを踏んでいただきます。
1
1回目受診
2
2回目受診
※ この日は、説明用DVD視聴、初回内服後の観察時間がそれぞれ必要なので診察時間が1時間以上かかります。診療時間終了近くの時間帯での診療予約はできませんので、あらかじめご理解ください。
3
3回目受診
主な副作用は、以下になります
重大な副作用として、ショック、アナフィラキシーがあり、血圧低下、呼吸困難、全身潮紅、顔面浮腫・咽頭浮腫などの血管浮腫、蕁麻疹、喘息などの異常が認められたときには、投与を中止をし、直ちに適切な処置が必要です。
「舌下免疫療法」は、注射による治療とは異なり、自宅で手軽に服用できる点が大きなメリットです。
スギ花粉症の鼻炎症状に対して、既存の治療法では治療効果がなく、苦しんでいる方は、気軽にご相談ください。
監修:西早稲田ライフケアクリニック 院長 井倉和紀