見た目が痩せているのに肥満?BMIだけでは見逃す 「隠れ肥満」|西早稲田ライフケアクリニック|新宿区高田馬場の糖尿病内科・内科

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見た目が痩せているのに肥満?BMIだけでは見逃す 「隠れ肥満」|西早稲田ライフケアクリニック|新宿区高田馬場の糖尿病内科・内科

見た目が痩せているのに肥満?BMIだけでは見逃す 「隠れ肥満」

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一般的にBMIが高いと肥満と判断されますが、BMIが低くても体脂肪率が高い場合もあるので注意が必要です。 この記事では、 BMIだけでは見逃してしまう 「隠れ肥満」 と体成分評価の重要性に関して解説します。

本日のポイント

  • 一般的にBMI (体重 [㎏] / 身長 [m]2 ) が25以上で 「肥満」 と判断される。
  • BMIによる肥満度の評価は、筋肉量や体脂肪率など体成分の評価が含まれていないため、BMIが標準範囲内でも、必ず健康的な状態であるとは言えない。
  • 体脂肪率 (PBF) と骨格筋指数 (SMI) を測定することで、今後の健康管理の方向性を決めることができる。
  • 体脂肪率が高いが、外見では 「肥満」と判断がつかない 「隠れ肥満」 はメタボリックシンドロームや冠動脈疾患を発症するリスクが高い。
  • 適切な体重管理に加えて、高い筋肉量と、適切な体脂肪率を維持することが理想的な健康管理。

「肥満」 の判断に用いられるBMIの限界

「最近、体重が増えた」、「お腹周りの脂肪が気になってきた」 といった状況から、自分が 「肥満」 に当てはまるのか心配になる方は多いかと思います。

BMI (Body Mass Index) は、肥満度を評価する指標として広く用いられており、一般的に「肥満」は、BMI (体重 [㎏] / 身長 [m]2 ) が 25 以上の場合に判断されます。

しかし、BMIが低くても体脂肪が多い人や、筋肉が多くて体重が重くなりBMIが高くなる人もいます。

つまり、BMIによる肥満度の評価は、筋肉量や体脂肪率など体成分の評価が含まれていないため、BMIが標準範囲内でも、必ず健康的な状態であるとは言えません

このように、BMIだけで肥満の状態を評価することには限界があり、BMIを低くするためだけの体重減少は、かえって体に悪影響を及ぼす可能性もあるので注意が必要です。

 

体成分評価の重要性

現状の正確な肥満の状態を把握するためには、体成分を測定することをお勧めします。

体成分の評価には、体内の水分や脂肪、筋肉量など様々な評価項目が含まれますが、そのなかでも体脂肪率 (PBF) と骨格筋指数 (SMI) を測定することで、今後の健康管理の方向性を決めることができます。

体脂肪率 (PBF: Percent Body Fat)

体脂肪率は、体重に占める体脂肪量の割合を示し、(体脂肪量 (kg) / 体重 (kg)) ×100 で算出される値です。 

体脂肪率の標準範囲は、性別や年齢によって異なり、おおよそ成人男性では10~20%、成人女性では18~28%で、健康的な状態と判断されます。

標準範囲を超えてしまう場合は、食事管理や運動による減量が重要になります。

また体脂肪は、骨や臓器の保護、免疫力の維持、体温調整など生命維持に重要な役割もあるため、低すぎることも悪影響となるので注意しましょう。

骨格筋指数 (SMI: Skeletal Muscle Mass Index)

SMIは、四肢の骨格筋肉量の合計を 身長 (m) の 2 乗で割った値であり、サルコペニア (加齢などが原因で、筋肉量が減少し、筋力や身体能力が低下している状態) の診断にも用いられています。

AWGS 2019 (Asian Working Group for Sarcopenia 2019) の診断基準1)では、握力低下、歩行速度低下に加えて、男性でSMI 7.0 kg/m2未満、女性でSMI 5.7 kg/m2未満で、サルコペニアの診断となります。

加齢に伴い筋肉量は減少し、60歳以上では、特に減少速度が顕著に上がります。

筋肉量の減少は、インスリン抵抗性に影響し、糖尿病とも関連します。

年齢に伴うSMIの低下を遅らせることが、健康な状態を保つためには重要です。

1)Chen LK, et al. Asian Working Group for Sarcopenia: 2019 Consensus Update on Sarcopenia Diagnosis and Treatment. J Am Med Dir Assoc 21. 3 (2020): 300-307

見た目は肥満でないが体脂肪率が高い 「隠れ肥満」 のリスク

「隠れ肥満」とは、体脂肪率が高いが、外見では 「肥満」と判断がつかない状態を言います。

男性より女性で多く、アジア人は 「隠れ肥満」 が多いと言われています。

「隠れ肥満」 の人は、高血圧、糖尿病、脂質異常を2つ以上あわせもつメタボリックシンドロームを発症するリスクが高く、これにより心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患を発症するリスクも高くなります2)

したがって、適切な体重管理に加えて、高い筋肉量と、適切な体脂肪率を維持することが理想的な健康管理となります。

西早稲田ライフケアクリニックでは、紹介した体脂肪率、SMIいずれも検査をすることが可能ですので、お気軽にご相談ください。

2)Oliveros Estefania, et al. The concept of normal weight obesity. Progress in cardiovascular diseases 56. 4 (2014): 426-433

 

以上、見た目が痩せているのに肥満?BMIだけでは見逃す 「隠れ肥満」 、という話題でした。
この記事が、皆様の生活 (ライフ) のお役に立てれば幸いです。
最後まで読んでくれて、ありがとうございました。