糖尿病の人は風邪薬に注意?血糖値に影響する市販薬と正しい選び方
冬になると風邪をひきやすくなり、「市販の風邪薬を飲んでも大丈夫ですか?」という質問をよく受けます。
実は、糖尿病の方が風邪薬を使うときには、いくつか注意すべき成分や飲み方があります。
この記事では、風邪薬と血糖値の関係、選び方のポイントを医師の視点からわかりやすく解説します。
本日のポイント
- 風邪や感染症は、体にとって“ストレス”であり、炎症を抑えるために分泌されるコルチゾールやアドレナリンなどのホルモンは、血糖値を上げる作用がある。
- 市販薬(総合感冒薬・ドリンク剤・咳止めなど)には、思いのほか多くの成分が含まれており、糖尿病の方は注意が必要。
- アセトアミノフェン(例:カロナールなど)、去痰薬(例:カルボシステイン、アンブロキソールなど)は、比較的使いやすい薬。
- 空腹時を避け、軽く食べたあとに服用し、水分をしっかりとる。
- 水分と炭水化物を少しずつでも摂って、体調が悪化したら早めに受診する。

風邪をひくと血糖値が上がりやすい理由
風邪や感染症は、体にとって“ストレス”。
炎症を抑えるために分泌されるコルチゾールやアドレナリンなどのホルモンは、血糖値を上げる作用があります。
そのため、風邪をひくと、
食欲がなくても血糖値が上がる
インスリンの効きが悪くなる
といった変化が起きます。
つまり、風邪そのものでも血糖コントロールが乱れやすいのです。
ここに、成分によっては血糖値に影響する薬を使うと、さらに乱れるリスクがあります。
糖尿病の方が注意すべき風邪薬の成分
市販薬(総合感冒薬・ドリンク剤・咳止めなど)には、思いのほか多くの成分が含まれています。
糖尿病の方は、以下のような成分に注意しましょう。
| 成分 | 主な作用 | 注意点 |
|---|---|---|
| ショ糖・ブドウ糖 |
シロップやトローチに甘味料として使用 |
血糖値を上昇させる可能性あり |
|
プソイドエフェドリン (交感神経刺激薬) |
鼻づまり改善 |
血圧・血糖を上げる作用あり 高血圧・糖尿病では注意 |
|
NSAIDs (イブプロフェン、ロキソプロフェンなど) |
解熱・鎮痛 |
腎機能への影響 糖尿病性腎症がある人は慎重に |
| アセトアミノフェン | 解熱・鎮痛 |
比較的安全だが、 肝障害のある方は注意 |
| 抗ヒスタミン薬 | くしゃみ・鼻水を抑える | 眠気・口渇による脱水リスクがある |
特に、総合感冒薬(「〇〇ゴールド」「〇〇EX」など)には、複数成分が配合されており、
糖尿病や腎機能に負担をかけることもあります。
糖尿病の人に比較的使いやすい薬
-
解熱・鎮痛薬:アセトアミノフェン(例:カロナールなど)
→ 血糖値への影響が少なく、発熱・頭痛時に使いやすい。 -
去痰薬:カルボシステイン、アンブロキソールなど
→ 咳や痰があるときに安全に使える。 -
のどの痛み・鼻水が軽い場合
→ うがい薬・鼻洗浄・加湿・温かい飲み物で自然治癒を促すのも◎。
「糖尿病の方も服用できます」と表示された市販薬を選ぶと安心です。
服薬時に気をつけたいポイント
・空腹時を避け、軽く食べたあとに服用しましょう。
・シロップ剤よりも錠剤タイプを選びましょう(糖分少なめ)。
・水分をしっかりとりましょう(脱水防止・腎保護)。
・眠気の出る薬を飲む場合は、運転や仕事前に避けましょう。
・他の薬(糖尿病薬・降圧薬など)との飲み合わせに注意しましょう。
風邪をひいたときの血糖コントロールのコツ
・水分と炭水化物を少しずつでも摂りましょう。
→ 絶食は低血糖やケトアシドーシスを招くことがあります。
・インスリンを自己判断で中止しない。
→ 熱や食欲不振でも、医師に相談しながら調整を。
・血糖値をこまめに測定。
→ CGM(フリースタイルリブレなど)がある場合は活用を。
・体調が悪化したら早めに受診しましょう
→ 感染症が悪化すると血糖値も上がりやすくなります。
風邪をひいたときは、薬だけでなく血糖コントロール全体を意識して、無理をせず体を休めましょう。
糖尿病の方は、風邪そのものよりも「体の反応」と「薬の影響」で血糖が乱れます。
少しの工夫でリスクを減らし、安心して冬を過ごしましょう。
以上、糖尿病の人は風邪薬に注意?血糖値に影響する市販薬と正しい選び方、という話題でした。
この記事が、皆様の生活 (ライフ) のお役に立てれば幸いです。
最後まで読んでくれて、ありがとうございました。



