糖尿病のある方の熱中症対策|西早稲田ライフケアクリニック|新宿区高田馬場の糖尿病内科・内科

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糖尿病のある方の熱中症対策|西早稲田ライフケアクリニック|新宿区高田馬場の糖尿病内科・内科

糖尿病のある方の熱中症対策

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蒸し暑い夏に気をつけないといけない熱中症。糖尿病のある方は、熱中症になりやすいため、特に注意が必要です。この記事では、糖尿病のある方の熱中症対策に関して解説します。

本日のポイント

  • 糖尿病のある方は、神経障害によって汗がかきにくくなったり、高血糖となると尿に糖分や水分が出やすくなり脱水症を引き起こしやすくなるため、熱中症になりやすい。
  • 糖尿病のある方が熱中症を引き起こすと、「高浸透圧高血糖状態」 「糖尿病ケトアシドーシス」「低血糖」といった命に関わる状態となる可能性がある。
  • 熱中症が疑われる症状は吐き気、体のだるさ、めまい、筋肉のけいれん、筋肉痛、異常な汗のかき方、高体温、体のふらつき、呼びかけに反応できないなどがある。
  • 熱中症が疑われた場合は、まず日陰や涼しい場所に移動をして、水分や塩分を摂取する、速やかに医療機関を受診することが必要。
  • 熱中症の予防には、なるべく暑さから避けること、こまめに水分補給をすること、日頃から暑さに負けない体づくりをすることが大切。
  • 糖尿病のある方が熱中症になった場合は、 「シックデイ」 の対応が必要。

糖尿病と熱中症

環境省の報告では、東京の夏の平均気温は100年間で約3℃上昇しており、それに伴い、近年熱中症患者さんが増加しています。

糖尿病のある方は、神経障害によって汗がかきにくくなったり、高血糖となると尿に糖分や水分が出やすくなり脱水症を引き起こしやすくなるため、熱中症のリスクが高いと言われています。

また高齢者は、喉の渇きを感じにくいこともあり、特に注意が必要です。

糖尿病のある方が熱中症による脱水症を引き起こすと、尿から糖分を出すことができないために血糖値は上昇します。

さらに脱水症が重症化すると、脳に酸素が行かなくなるため (脳が脱水状態に) 、意識を失う場合があります。

この状態を 「高浸透圧高血糖状態」 と呼びます。

そこで水分をとるために、スポーツドリンクなどの清涼飲料水 (大量に砂糖が含まれている!) をたくさん飲んでしまうと、血糖がどんどん上昇し、さらに喉が渇き、甘い飲み物をますます飲みたくなるという悪循環となります。

高血糖が重症化した結果、脂肪の代謝産物である 「ケトン体」 が体内にたまってしまい、「糖尿病ケトアシドーシス」 と呼ばれる状態となり、同様に意識を失う場合があります。

また、糖尿病のお薬を内服している方やインスリン注射をしている方は、熱中症により食事が食べられなくなることで、逆に血糖値が下がりすぎてしまう 「低血糖」 となる場合もあり、重症化すると同様に意識を失う場合があります。

この様に糖尿病のある方が熱中症を引き起こすと、「高浸透圧高血糖状態」 「糖尿病ケトアシドーシス」「低血糖」といった命に関わる状態となる可能性があるため、より注意が必要です。

 

熱中症の症状と起きた時の対応

熱中症が疑われる症状は以下になります。

・吐き気、体のだるさ、めまい

・筋肉のけいれん、筋肉痛

・異常な汗のかき方 (大量の汗もしくは全く汗をかかない)、高体温

・体のふらつき、呼びかけに反応できない

熱中症が疑われた場合は、まず日陰や涼しい場所に移動をして、水分や塩分を摂取することが必要です。

そして速やかに医療機関を受診することが大切です。

 

熱中症を予防するには?

熱中症予防策を下記にまとめます。

・なるべく暑さから避ける

外出時は、日傘や帽子を着用して日差しを避けながら、無理はせず日陰や涼しい場所でこまめに休憩をとりましょう。

体から出る熱を早く逃がすために、風通しの良いゆったりとした吸汗速乾の衣服を着ることも有効です。

室内では、我慢せずに冷房を使って下さい。

・こまめに水分補給する

作業時や運動時だけではなく、喉の渇きを感じる前に、こまめに水分を補給することが重要です。

非常に暑い日は、塩分も一緒に摂取することが望ましいですが、スポーツドリンクは血糖上昇を招くために、注意が必要です。

運動前後で体重を測定すると、運動中に失われた水分量がある程度分かるので、こまめに体重を測定することも有効です。

・暑さに負けない体づくり

熱中症は、まだ体が暑さに慣れていない梅雨明けの蒸し暑い日に多く起こることが分かっています。

日頃から定期的な運動を行い、汗をかく習慣をつけることが、暑さに負けない体を準備することになり、さらに血糖コントロール改善にもつながります。

運動する際は、朝や夜間の涼しい時間帯に行い、徐々に運動量を増やすようにしましょう。

 

糖尿病のある方が熱中症になったら

糖尿病のある方が熱中症になった状態は、普段通りの飲食ができない状態である 「シックデイ」 という状態です。

「シックデイ」 の際の対応を下記にまとめます。

・意識障害の可能性があるので、ご家族や同居者の協力をお願いする。

・脱水症の予防のために、十分な水分の摂取を行う。

・おかゆや果物など、消化のよい食べ物を食べて、エネルギーを補給する。

・インスリンを打っている人は、インスリンの投与は中止しない

・脱水を悪化させる薬もあるので、薬を飲んでいる人は医療機関に対応を確認する。

・可能であれば、血糖自己測定をこまめに行う。

食事がとれない状態が継続している、血糖値350mg/dl以上が継続している、意識状態が悪いときは、早急に医療機関を受診する

「シックデイ」 のときは血糖値は上がりやすい状態となっており、上記の 「高浸透圧高血糖状態」や「糖尿病ケトアシドーシス」 を起こしやすくなっています。

逆に糖尿病の飲み薬やインスリンによって血糖値が下がりすぎる 「低血糖」 になる場合もあり、十分な注意が必要です。

 

以上、糖尿病のある方の熱中症対策、という話題でした。
この記事が、皆様の生活 (ライフ) のお役に立てれば幸いです。
最後まで読んでくれて、ありがとうございました。