肥満症治療薬として保険適用になったセマグルチド製剤:「ウゴービ」を処方するハードルの高さ|西早稲田ライフケアクリニック|新宿区高田馬場の糖尿病内科・内科

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肥満症治療薬として保険適用になったセマグルチド製剤:「ウゴービ」を処方するハードルの高さ|西早稲田ライフケアクリニック|新宿区高田馬場の糖尿病内科・内科

肥満症治療薬として保険適用になったセマグルチド製剤:「ウゴービ」を処方するハードルの高さ

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この記事では、肥満症の治療薬として承認されたGLP-1受容体作動薬の注射薬であるセマグルチド製剤:「ウゴービ」の保険適用の要件に関して解説します。

本日のポイント

  • 「ウゴービ」の発売によって、保険適用の新しい肥満治療が誕生した。
  • 「ウゴービ」は、週に1回皮下注射する、使い切りの注射剤。
  • 保険適用の対象となる患者さんには、厳しい条件がある。
  • 処方できる施設や医師の要件なども設定されており、発売直後は総合病院や大学病院での処方が主になるだろう。

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肥満症の治療薬として承認された「ウゴービ」とは?

2型糖尿病患者さんの治療薬として広く用いられているGLP-1受容体作動薬を、自費診療やネット販売などを利用して、美容やダイエットが目的の「やせ薬」として使う人が増えることにより、本来必要な患者さんが使用できないといった事態が起こっています。

※ GLP-1受容体作動薬に関する記事は、こちらをクリック。

そのような中でGLP-1受容体作動薬の注射薬であるセマグルチド製剤:「ウゴービ」が肥満症の治療薬として承認され、2023年11月22日に薬価収載されました。

※ 薬価収載とは、厚生労働省が新しい薬の価格を設定することで、これにより保険診療で処方が可能になります。

「ウゴービ」は、GLP-1受容体作動薬の「リベルサス」「オゼンピック」と同じ成分が含まれており、投与することで食欲を抑制し、体重が減少する、血糖コントロールが改善するなどの効果が期待できます。

「ウゴービ」の発売によって、保険適用の新しい肥満治療が誕生したことになります。

 

「ウゴービ」の具体的な使用方法

「ウゴービ」は、週に1回皮下注射する、使い切りの注射剤になります。

0.25mg、0.5mg、1.0mg、1.7mg、2.4mgまでの5段階があり、4週間の間隔で増量を検討していきます。

使用できる用量は「オゼンピック」より多く、用量が増えれば、食欲抑制効果も強くなります。

現時点での最大投与期間は68週間となっています。

肥満症患者さんだけでなく2型糖尿病患者さんの治療薬としても期待できる薬になりますが、現時点における処方要件はかなり厳しく設定されています。

「ウゴービ」が保険適用となる条件

厚生労働省は、2023年11月に肥満症に対して「ウゴービ」を使用する際の留意事項を記載した「最適使用推進ガイドライン」を公表しました。

その中で、「ウゴービ」の保険適用の対象となる患者さんは、以下の通りになります。

 1) 高血圧、脂質異常症または2型糖尿病のいずれか1つ以上の診断がなされ、かつ以下を満たす患者であること。
   ・BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する         

   ・BMIが35kg/m2以上

  ※ BMI (Body Mass Index) = 体重(kg) ÷ {身長(m) X 身長(m)}

 2)適切な食事療法・運動療法に係る治療計画を作成し、本剤を投与する施設において当該計画に基づく治療を6ヵ月以上実施しても、十分な効果が得られない患者であること。また、食事療法について、この間に2ヵ月に1回以上の頻度で管理栄養士による栄養指導を受けた患者であること。

 3)本剤を投与する施設において合併している高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病に対して薬物療法を含む適切な治療が行われている患者であること。

さらに、処方できる施設や医師の要件なども記載されており、具体的には、肥満症治療に関連する学会(日本糖尿病学会、日本内分泌学会、日本循環器学会)の専門医と栄養指導を行うことができる管理栄養士が常勤している教育研修施設でないと、使用できません。

教育研修施設であるクリニックは少ないため、「ウゴービ」発売直後では、保険診療での処方は総合病院や大学病院で行うことになると考えられます。

「ウゴービ」は、新たな肥満治療として期待されていますが、開始するための条件は、なかなか厳しいです。

 

以上、肥満症治療薬として保険適用になったセマグルチド製剤:「ウゴービ」を処方するハードルの高さ、という話題でした。
この記事が、皆様の生活 (ライフ) のお役に立てれば幸いです。
最後まで読んでくれて、ありがとうございました。