近年増加している膵臓がんのリスク因子と早期発見のためのポイント|西早稲田ライフケアクリニック|新宿区高田馬場の糖尿病内科・内科

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近年増加している膵臓がんのリスク因子と早期発見のためのポイント|西早稲田ライフケアクリニック|新宿区高田馬場の糖尿病内科・内科

近年増加している膵臓がんのリスク因子と早期発見のためのポイント

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膵臓がんは近年増加しており、いまだ予後も悪いがんであるため、早期発見が重要です。膵臓がんと糖尿病には密接な関係があり、糖尿病のある方は特に注意が必要です。この記事では、膵臓がんのリスク因子と早期発見のためのポイントを解説します。

本日のポイント

  • 膵臓がんは罹患率、死亡率ともに増加しており、いまだもっとも予後が悪いがんである。
  • リスク因子として、家族歴、喫煙、飲酒、膵疾患、肥満や糖尿病などの生活習慣病が挙げられる。
  • 糖尿病と膵臓がんは、相互にリスク因子となる密接な関係がある。
  • 糖尿病のある方が、治療を行っていても血糖コントロールがつかない場合や、急に血糖コントロールが悪くなった場合は、膵臓がん発症の可能性を考える。
  • 膵臓がんは初期では症状がでにくく、発見が遅れやすいがんであるため、腹部の検査が含まれる健康診断や人間ドックを定期的に活用することが、早期発見には重要。

膵臓がんの実状

日本における2022年の膵臓がんの年間罹患数 (予測) は約4万4500人であり、部位別 (予測) では男女ともに6番目に多いがんとなっています1)

2009年の膵臓がんの年間罹患数は約3万人であることから、年々膵臓がんは増加しています。

増加している原因は、高齢化の影響過度の飲酒も含めた生活習慣の欧米化が考えられます。

また早期発見の重要性が広まり、早期に診断されるようになったことも増加に影響しているかと思います。

 

日本における膵臓がんの2022年の年間死亡数は約3万9500人で、部位別では4番目に多く、罹患率と同様に死亡率も増加していました (男女ともに年齢調整した)。

また5年における準生存率 (がんのみが死因となる場合の生存率) は、がん全体が66.2%であるのに対し、膵臓がんは12.7%と最も低く、最も予後が悪いがんでした。

 

1)国立研究開発法人国立がん研究センター:がん情報サービスホームページ 「がんの統計2023」 より

がんの統計 2023:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ] (ganjoho.jp)

 

2)国立研究開発法人国立がん研究センター:がん情報サービスホームページ 「院内がん登録生存率集計」 より

院内がん登録生存率集計:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ] (ganjoho.jp)

 

膵臓がんのリスク因子

膵臓がんのリスク因子は、以下になります。

① 家族歴

日本人における家族性膵臓癌の関連遺伝子 (ATM・BRCA1・BRCA2・PALB2など) が報告されています。

② 飲酒、喫煙

喫煙本数やアルコール摂取量によってリスクは変わりますが、飲酒と喫煙はともに膵臓がんを発症する独立したリスク因子とされています。

④ 慢性膵炎などの膵疾患

慢性膵炎に罹患している方の膵臓がんリスクは非常に高いです。

⑤ 生活習慣病 (糖尿病、肥満)

肥満があると、血糖値を下げる役割をもつインスリンが十分に作用しなくなり、インスリンを産生する細胞の増殖が進んでしまい、がんの発生や進行に影響すると言われています。

 

糖尿病と膵臓がん

膵臓は、血糖値を下げるホルモンであるインスリンを分泌する臓器であるため、糖尿病と膵臓がんは相互にリスク因子となる密接な関係があります。

膵臓がんにより膵臓の組織が壊れると、インスリンの産生機能が低下してしまい、糖尿病を発症する場合があります。

糖尿病のある方が、治療を行っても血糖コントロールがつかない場合や、急に血糖コントロールが悪くなった場合も、膵臓がん発症の可能性がありますので、注意が必要です。

また逆に、糖尿病自体が、膵臓がんの発症、進展に影響を与えます。

特に2型糖尿病では、インスリン抵抗性からインスリン分泌量が増えることで、細胞の増殖が進み、結果的にがん細胞が発生するリスクが高くなります。

糖尿病のある方は、糖尿病のない方よりも膵臓がんのリスクが約2倍高いと言われています。

 

膵臓がんを早期発見するためにできること

膵臓がんの症状として、腹痛や食欲不振、黄疸などが挙げられますが、膵臓がんは初期では症状がでにくく、発見が遅れやすいがんであるため、腹部の検査が含まれる健康診断や人間ドックを定期的に活用することが、早期発見には重要です。

早期発見ができた方は偶然画像検査で見つかることが多いので、家族歴や、過度の飲酒、喫煙、膵疾患、生活習慣病のある方などの膵がん発症ハイリスクの方は、ぜひ腹部超音波検査、腹部CT検査、腹部MRI検査などの画像検査を定期的に行うことをおすすめします。

また糖尿病のある方が、「1年前と比較して急激な血糖上昇を認める」、「暴飲暴食など明らかな原因がないのに血糖コントロールが悪くなった」、「1年前と比較して急激な体重減少がある」 などの症状があれば、膵臓がんが疑われますので早めに主治医の先生に相談してください。

他の癌と同様に膵臓がんも、早期発見できるかで、生命予後が変わってきますので、何か気になることがあれば、早めに医療機関を受診しましょう。

 

以上、近年増加している膵臓がんのリスク因子と早期発見のためのポイント、という話題でした。
この記事が、皆様の生活 (ライフ) のお役に立てれば幸いです。
最後まで読んでくれて、ありがとうございました。