スマートウォッチで血糖を測ることに関する注意喚起
- 2024年4月21日
- 糖尿病
腕にはめるだけで血糖値を把握できると謳ったスマートウォッチを見かけることが多くなってきています。この記事では、スマートウォッチで血糖を測ることに関する注意喚起に関して解説します。
本日のポイント
- 現時点では、スマートウォッチによる血糖測定の精度は低く、正確に血糖値を把握するのは困難。
- 米国においても、スマートウォッチによる血糖測定に関して、注意喚起が出されている。
- 皮下の間質液中の糖濃度を測定し、血糖値を把握する連続血糖測定 (CGM) や間歇スキャン式持続血糖測定 (isCGM) は、安全性や有用性が確立している。
- 適切な測定器を使用することを医療従事者と話し合うことが何より重要。
スマートウォッチによる血糖測定
最近、自分で指先の皮膚などに針を刺して採血をしなくても、腕にはめるだけで、血糖値の測定が可能であると謳ったスマートウォッチが、複数のメーカーから販売されています。
自分で血糖測定をされている糖尿病患者さんにとって、採血の痛みから解放されるのではないかと、当院でも相談されることが多くなりました。
しかし、実際は測定の精度が低く、正確に血糖値を把握することは困難であると思われます。
2024年4月時点では、針を刺さずに血糖値を正確に測定する検査機器はないのが現状です。
米国における注意喚起
米国においても、日々の血糖値を把握するために、上記の様なスマートウォッチを使用する人が増えているようです。
しかし、米食品医薬品局 (FDA) ※は、これらのスマートウォッチを承認してはおらず、正確に血糖を把握することは難しいと、その使用に関して注意喚起をしています。
※ FDA:ガイドラインに基づいて医薬品の安全性を確認する政府機関
糖尿病の方が使用して、実際の血糖値よりも高い値がスマートウォッチで出た場合、血糖値を下げる薬を過剰に投与してしまい、生命に関わる重篤な低血糖を引き起こす可能性もあります。
2024年2月にFDAから出された声明に関しては、以下のURLから参照ください。
https://www.fda.gov/medical-devices/safety-communications/do-not-use-smartwatches-or-smart-rings-measure-blood-glucose-levelsDon’t Use Smartwatches That Claim to Measure Blood Sugar (healthday.com)-fda-safety-communication
毎回針を刺さなくてもよい持続血糖測定器
腕などに細い針を刺し、皮下の間質液中の糖濃度を測定し、血糖値を把握する連続血糖測定 (CGM) や間歇スキャン式持続血糖測定 (isCGM) は、安全性や有用性が確立しており、注意喚起の対象となっているスマートウォッチ製品とは異なります。
比較的精度が高く、毎回針を刺さずに、1日の血糖値のトレンドを把握できるので、良好な血糖コントロールを維持するために活用できます。
正確な血糖値の把握のために、適切な測定器を使用することを医療従事者と話し合うことが何より重要だと考えます。
以上、スマートウォッチで血糖を測ることに関する注意喚起、という話題でした。
この記事が、皆様の生活 (ライフ) のお役に立てれば幸いです。
最後まで読んでくれて、ありがとうございました。