脂質異常症|西早稲田ライフケアクリニック|新宿区高田馬場の糖尿病内科・内科

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脂質異常症

脂質異常症|西早稲田ライフケアクリニック|新宿区高田馬場の糖尿病内科・内科

下記のような症状に該当する方は脂質異常症の可能性があります。

  • 肥満体型である
  • 健康診断でコレステロール値や中性脂肪の上昇を指摘されたことがある
  • ファストフードや甘いもの・お菓子を頻繁に食べる
  • 肘や膝の関節付近が黄色く変色している
  • 親や祖父母、兄弟など近親者に脂質異常症を発症した方がいる

これらの要因が重なると脂質異常症のリスクが高まります。
脂質異常症は、自覚症状が現れにくいため、検査結果でコレステロール値、中性脂肪の異常を指摘されたとしても放置してしまう方が非常に多い疾患ですが、将来的に心筋梗塞や脳梗塞など重篤な疾患に発展したり、既に合併症を発症している可能性もあるので見逃せない病気です。
指摘をされたり、思い当たる症状がある方は早めに医師にご相談ください。

脂質異常症について

コレステロールは、ホルモンや細胞を包む細胞膜や、脂肪の消化吸収を助ける胆汁酸の原料となり、中性脂肪は、運動するときのエネルギー源になるため、どちらもなくてはならない重要な役割を持っていますが、増えすぎても問題になります。
脂質異常症とは、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪(トリグリセライド)が基準値より高い、またはHDLコレステロール(善玉コレステロール)が基準値より低い状態のことを言い、2007年に「高脂血症」から名称が変わりました。

脂質異常症の診断は、以下の数値に沿って行われます。

  • LDLコレステロール 140 mg/dL以上 ⇒ 高LDLコレステロール血症
  • LDLコレステロール 120~139 mg/dL ⇒ 境界域高LDLコレステロール血症
  • HDLコレステロール 40 mg/dL未満 ⇒ 低HDLコレステロール血症
  • 中性脂肪 空腹時採血 150 mg/dL以上 ⇒ 高トリグリセライド血症
  • 中性脂肪 随時採血 175 mg/dL以上 ⇒ 高トリグリセライド血症
  • Non-HDLコレステロール 170 mg/dL以上 ⇒ 高non-HDLコレステロール血症
  • Non-HDLコレステロール 150~169 mg/dL ⇒ 境界域高non-HDLコレステロール血症

※Non-HDLコレステロールとは、総コレステロールからHDLコレステロールを除いたもの

この状態が長く続くと、血管内にコレステロールがたまり、血管の弾力が失われ、動脈硬化へと進行し、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)や脳梗塞など、動脈硬化性疾患の原因になります。

脂質異常症は、自覚症状がほとんどないまま進行します。
よって、定期的に健康診断を受け、コレステロール値、中性脂肪を把握することが重要です。

当院では、即日、脂質異常症の検査が可能で、30分程度で結果が出ます。

脂質異常症の原因

脂質異常症の原因は、以下の3つに分類することができます。

  1. 生活習慣

    食生活や運動習慣など、生活習慣が影響して発症するタイプです。

    LDLコレステロールが高値となる原因として、肉の脂身(バラ肉やひき肉、鶏肉の皮も含む)やバター、生クリーム、牛乳などの乳製品、ウインナー、ベーコン、インスタントラーメンなどの加工食品に多く含まれる飽和脂肪酸のとりすぎが挙げられます。
    またうなぎやたらこ、いくら、レバー、卵などコレステロールを多く含む食品のとりすぎも影響します。

    中性脂肪(トリグリセライド)が高値となる原因としては、過食や、糖分・糖質の多い食事のとりすぎと運動不足、肥満などが挙げられます。

    HDLコレステロールの低値は中性脂肪の高値と連動することが多く、中性脂肪高値の原因と同様に、過食による肥満や運動不足などの生活習慣が影響します。

  2. 続発性(二次性)脂質異常症

    他の病気や服用している薬の影響などが原因で引き起こされる脂質異常症のことです。
    続発性脂質異常症の原因となる病気には、糖尿病、甲状腺機能低下症、クッシング症候群、先端巨大症、褐色細胞腫などの内分泌疾患、ネフローゼ症候群、慢性腎不全などの腎疾患、閉塞性黄疸、原発性胆汁性肝硬変、原発性肝癌などの肝疾患があります。
    脂質異常症に影響する薬剤には、副腎皮質ステロイド薬、経口避妊薬、利尿薬、β遮断薬などが挙げられます。

  3. 原発性脂質異常症

    体質・遺伝的な異常によって発症する脂質異常症のことです。
    生活習慣に関わらず発症するため、定期的に採血を行って、状況を確認する必要があります。
    病態や遺伝子異常によって、「原発性高カイロミクロン血症」、「原発性高コレステロール血症」、「家族性Ⅲ型高脂血症」、「原発性高トリグリセライド血症」、「原発性高HDLコレステロール血症」 の5つの病型に分類することができます。

    「原発性高コレステロール血症」に含まれる家族性高コレステロール血症(FH)は、遺伝的な要因が強く、若年から動脈硬化が進行し、心筋梗塞などの冠動脈疾患を発症しやすく、注意が必要です(下記参照)。
    一方、「家族性Ⅲ型高脂血症」や「原発性高コレステロール血症」の家族性複合型高脂血症などは環境による要因が大きく、成人以降に発症するといわれています。

※家族性高コレステロール血症(FH)
FHは、LDLを肝臓や細胞に取り込むために働くLDL受容体に遺伝的な異常や欠損があり、血液中のLDLコレステロールが増加する病気です。
FHは、遺伝性の病気であり、ご家族の一人がFHと診断されたら、そのご家族の中にもFH患者さんがいる可能性があります。
FHは、治療を行わないとLDLコレステロール値が180 mg/dL 以上となり、30代、40代といった若い年齢でも心筋梗塞などの冠動脈疾患を発症する場合があります。
FH患者さんの死因の約60%は心筋梗塞であり、一般の方と比較すると約10倍の頻度で起こっています。
これによりFHは、深刻な病気と考えられますが、早期に診断し適切な治療を行うことで、動脈硬化の進行を抑制し、健康な人と変わらない寿命を得ることができます。
しかし、日本におけるFHの診断率は1%未満であり、非常に見逃されやすい病気です。
以下の項目に当てはまる人は、早めに医師にご相談ください。

(1)未治療時のLDLコレステロール値が180 mg/dL 以上である。
(2)アキレス腱の肥厚や、手背、肘、膝などの腱黄色腫(黄色いしこり)、皮膚結節性黄色腫(皮膚が1㎝以上に隆起した状態)を認める。
(3)FHあるいは早発性(男性55歳未満、女性65歳未満で発症)冠動脈疾患の家族歴(2親等以内)がある。

脂質異常症の治療

脂質異常症を治療する目的は、「動脈硬化を進行させないこと、生命にかかわる合併症を予防すること」 になります。
そのためにはコレステロール値、中性脂肪を可能な限り正常値に近づけ、良好な脂質コントロールを維持することが重要になります。

コレステロール値、中性脂肪の治療目標は、年齢や合併症によって異なり、具体的には以下の通りになります(日本動脈硬化学会 動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022年版参照)。

  1. 冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)、アテローム血栓性脳梗塞の既往がある場合

    LDLコレステロール 100 mg/dL未満
    HDLコレステロール 40 mg/dL以上
    中性脂肪 空腹時採血 150 mg/dL未満、中性脂肪 随時採血 175 mg/dL未満
    Non-HDLコレステロール 130 mg/dL未満

    ※急性冠症候群、糖尿病、家族性高コレステロール血症のいずれかを合併している場合や、アテローム血栓性脳梗塞と冠動脈疾患いずれも合併している場合はLDLコレステロール 70 mg/dL未満、Non-HDLコレステロール 100 mg/dL未満が目標となります。

  2. 冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)、アテローム血栓性脳梗塞の既往がない場合

    (1)糖尿病、慢性腎臓病(CKD)、末梢動脈疾患(PAD)がある場合

    LDLコレステロール 120 mg/dL未満
    HDLコレステロール 40 mg/dL以上
    中性脂肪 空腹時採血 150 mg/dL未満、中性脂肪 随時採血 175 mg/dL未満
    Non-HDLコレステロール 150 mg/dL未満

    ※糖尿病において、末梢動脈疾患、細小血管症(網膜症、腎症、神経障害)合併時、または喫煙ありの場合、目標をLDLコレステロール 100 mg/dL未満、Non-HDLコレステロール 130 mg/dL未満に考慮する。

    (2)糖尿病、慢性腎臓病(CKD)、末梢動脈疾患(PAD)がない場合

    性別、年齢、喫煙、血清コレステロール、収縮期血圧から予想される10年間の動脈硬化性疾患発症リスクを評価し、分類されたリスク別に目標値を設定します。
    リスク評価に関しては、日本動脈硬化学会 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p68-71 を参照ください。

    低リスク
    LDLコレステロール 160 mg/dL未満
    HDLコレステロール 40 mg/dL以上
    中性脂肪 空腹時採血 150 mg/dL未満、中性脂肪 随時採血 175 mg/dL未満
    Non-HDLコレステロール 190 mg/dL未満

    中リスク
    LDLコレステロール 140 mg/dL未満
    HDLコレステロール 40 mg/dL以上
    中性脂肪 空腹時採血 150 mg/dL未満、中性脂肪 随時採血 175 mg/dL未満
    Non-HDLコレステロール 170 mg/dL未満

    高リスク
    LDLコレステロール 120 mg/dL未満
    HDLコレステロール 40 mg/dL以上
    中性脂肪 空腹時採血 150 mg/dL未満、中性脂肪 随時採血 175 mg/dL未満
    Non-HDLコレステロール 150 mg/dL未満

脂質異常症をきたしうる原疾患があれば、その原因疾患を優先的に治療する必要がありますが、脂質異常症の治療は、なにより生活習慣を改善することが大切です。
特に脂質異常症の方が喫煙をすると、さらに動脈硬化が進行します。
脳心血管病を予防するためにも禁煙に努めましょう。

当院では、患者様一人ひとりの症状や状態に合わせた治療を行っています。
主な治療方法は以下の通りです。

食事療法

必要なエネルギーや栄養素をバランスよく摂取することが大切です。

LDLコレステロールを減らすためには、コレステロールや飽和脂肪酸を多く含む肉の脂身、内臓、皮、乳製品、魚卵、卵黄、菓子類、加工食品の摂取を控えて、コレステロールの合成を抑える緑黄色野菜、大豆製品、海藻類、きのこ類の摂取を増やします。

中性脂肪を減らすには、過食を抑え、糖質を多く含む菓子類、飲料、アルコールの摂取を控えて、n-3系多価不飽和脂肪酸を多く含む青魚(イワシ、サバなど)の摂取を増やします。

運動療法

定期的に運動することは、カロリー消費で減量が期待できるだけでなく、HDLコレステロールを増やし、中性脂肪を減らすことにつながります。
ウォーキングやスロージョギングなどの有酸素運動を、1日30分以上、毎日行うと効果的です。

激しい運動や筋力トレーニングなどの無酸素運動は、心筋梗塞や脳出血などを誘発するリスクがあります。
特に、慢性腎臓病、眼底出血、不整脈、心筋梗塞、関節炎など合併症がある人は、運動に関して主治医の先生と相談してください。
運動能力や体力には個人差がありますので、自分のペースで続けられる運動を行うことが重要です。

その人にあった運動のペースは、運動中の心拍数を目安にするとよいです。
適正心拍数は以下の計算式で計算できます。
適正心拍数(1分間)= 138-(年齢÷2)
例えば、60歳ならば138-(60÷2)=108になります。

薬物療法

生活習慣の改善を行っても目標値に至らない場合には、薬物療法が行われます。
糖尿病、慢性腎臓病、脳梗塞、末梢動脈疾患の合併例では早期の薬物療法を検討することが望ましいです。
具体的に脂質異常症の薬物療法で用いられる薬剤は以下の通りです。

  • スタチン(副作用:横紋筋融解症、筋肉痛や脱力感、肝障害など)
  • 陰イオン交換樹脂(副作用:消化器症状など)
  • 小腸コレステロールトランスポーター阻害薬(副作用:消化器症状、肝障害など)
  • フィブラート(副作用:横紋筋融解症、肝障害など)
  • ニコチン酸誘導体(副作用:顔面潮紅や頭痛など)
  • プロブコール(副作用:可逆性のQT延長や消化器症状など)
  • EPA・DHA製剤(副作用:消化器症状、出血傾向や発疹など)
  • PCSK9阻害薬(副作用:消化器症状、筋肉痛など)

患者さんの状態や合併症の進行程度など、個々の病態を考慮しながら、総合的に判断して種類を決めます。

薬物療法を行う場合には自己判断で服薬を中止するとかえって症状の悪化を引き起こす可能性があるため、医師の指示に従って継続してください。
薬物療法を開始しても、食事療法、運動療法は脂質異常症の基本治療として継続していくことが大切です。

当院では、脂質異常症に関するご相談を受け付けています。
脂質異常症に関する不安や疑問がある場合はお気軽にお問い合わせください。

監修:西早稲田ライフケアクリニック 院長 井倉和紀