全身が痛いのに検査は異常なし?線維筋痛症の症状・検査・治療について解説
- 2026年8月22日
- 生活習慣
「体のあちこちが痛い」
「肩、背中、腰、手足など、痛む場所がいくつもある」
「痛みが長く続いているのに、検査では大きな異常が見つからない」
このような場合、原因の一つとして線維筋痛症(せんいきんつうしょう)があります。
線維筋痛症では、全身の痛みだけでなく、疲労感、睡眠障害、頭痛、しびれなど、さまざまな症状を伴うことがあります。
一方で、全身の痛みを起こす病気はほかにもあります。
今回は、線維筋痛症とはどのような病気なのか、症状や検査、診断、治療、そして似た症状を起こす病気との違いについて解説します。
本日のポイント
- 線維筋痛症は、全身の広い範囲に3か月以上続く慢性的な痛みを特徴とし、疲労感や睡眠障害などさまざまな症状を伴うことがある病気。
- 一般的な血液検査や画像検査では、痛みを説明できる異常が見つからないこともある。
- 線維筋痛症では、痛み以外にも疲労感などのさまざまな症状がみられる。
- 線維筋痛症の原因は、現在も完全には分かっていない。
- リウマチ・膠原病、甲状腺疾患、筋疾患、神経・脊椎疾患など、似た症状を起こす病気がないか確認したうえで診断することが大切。

線維筋痛症とは?
線維筋痛症は、全身の広い範囲に痛みが長期間続く病気です。
一般的には、広範囲の痛みが3か月以上持続していることが診断を考えるうえで重要になります。
「筋痛症」という名前ですが、単純に筋肉に炎症が起きている病気ではありません。
血液検査や画像検査を行っても、強い痛みを説明できるような異常が見つからないこともあります。
現在では、脳や脊髄などで痛みを感じたり調節したりする仕組みの変化が関係していると考えられています。
そのため、「検査で異常がない=痛みがない」ということではありません。
同時に、「検査が正常=線維筋痛症」というわけでもありません。
ほかの病気が隠れていないかを確認することが非常に重要です。
線維筋痛症ではどんな痛みが起こる?
線維筋痛症の痛みには個人差があります。
首、肩、背中、腰、腕、脚など、体のさまざまな場所に痛みがみられ、痛む場所や程度が日によって変化することもあります。
「ズキズキする」「ヒリヒリする」「焼けるように痛い」「体中がこわばっている」など、痛みの感じ方もさまざまです。
また特徴の一つとして、通常なら痛みを感じない程度の軽い刺激でも、強い痛みとして感じることがあります。
例えば、衣服や髪が皮膚に触れるような刺激でも痛みを感じることがあります。
痛みは一定ではなく、睡眠不足、ストレス、過度な運動などによって悪化する場合もあります。
「痛い」だけの病気ではありません
線維筋痛症では、痛み以外にもさまざまな症状がみられることがあります。
代表的なのは、
- 強い疲労感
- 朝のこわばり
- 睡眠障害
- 頭痛
- 手足のしびれ
- めまい
- 動悸
- 集中しにくい
- 頭がすっきりしない
- 腹痛、下痢、便秘
などです。
すべての方にこれらの症状が現れるわけではありません。
特に重要なのが睡眠と疲労感です。
「長時間寝たのに疲れが取れない」「朝起きたときから体がつらい」「朝起きたときから体がつらい」という方もいます。
痛み→睡眠不足→疲労→さらに痛みを感じやすくなる、という悪循環が生じることもあります。
なぜ線維筋痛症になるの?
線維筋痛症の原因は、現在も完全には分かっていません。
遺伝的な要因、身体的・心理的ストレス、けが、手術などが発症に関係する可能性が指摘されています。
また、脳で痛みの情報を処理する仕組みの異常が関係している可能性も考えられています。
ただし、「ストレスが原因の病気」と単純に説明できるものではありません。
明らかなきっかけがなく発症する方もいます。
ほかの病気に伴って線維筋痛症が起こることもあります
線維筋痛症は単独で起こるだけでなく、ほかの病気を背景としてみられることがあります。
例えば、
- 関節リウマチ
- 全身性エリテマトーデス(SLE)
- シェーグレン症候群
- 変形性関節症
- 脊椎関節炎
などです。
そのため、すでにリウマチなどの診断を受けている方でも、「病気自体は落ち着いているのに、体中の痛みが続く」という場合には、痛みの原因を改めて評価する必要があります。
「全身が痛い」―線維筋痛症以外に何を考える?
全身の痛みがあるからといって、最初から線維筋痛症と判断することはできません。
● リウマチ・膠原病
関節リウマチやSLEなどでも、関節痛、こわばり、倦怠感などが起こります。
関節の腫れ、発熱、皮疹などがある場合には特に確認が必要です。
● リウマチ性多発筋痛症
特に50歳以上で、肩や腰・太ももの付け根周辺の強い痛みや朝のこわばりがある場合には鑑別が必要です。
● 甲状腺機能低下症
甲状腺機能が低下すると、疲労感、寒がり、むくみ、便秘などとともに、筋肉痛やこわばりが現れることがあります。
● 筋肉の病気
炎症性筋疾患などでは、痛みだけでなく筋力低下が重要です。
「階段を上りにくい」「椅子から立ち上がりにくい」「腕を上げにくい」といった症状がないか確認します。
● 神経や背骨の病気
頚椎や腰椎の病気、末梢神経障害などでも、痛みやしびれが起こります。
そのほか、感染症、薬剤による筋障害、電解質異常などが原因となることもあります。
線維筋痛症ではどんな検査をする?
線維筋痛症そのものを診断できる血液検査はありません。
血液検査や尿検査、画像検査で特徴的な異常がみられないことも多く、問診と身体診察が非常に重要です。
一方、検査には「線維筋痛症を見つける」というより、ほかの病気が隠れていないか確認するという重要な役割があります。
症状によっては、
血算
→ 貧血などがないか
CRP・赤沈(ESR)
→ 炎症性疾患や感染症などがないか
CK(クレアチンキナーゼ)
→ 筋肉の障害がないか
TSH・FT4など
→ 甲状腺機能異常がないか
肝機能・腎機能・電解質
→ 全身症状につながる異常がないか
などを確認します。
症状や診察所見によっては、膠原病に関する自己抗体などを追加することもあります。
ただし、全身痛がある方全員に同じ検査を行うわけではありません。
線維筋痛症はどうやって診断する?
線維筋痛症には、「この検査が陽性なら確定」という検査はありません。
痛みが、
- どの場所にあるのか
- どのくらい広がっているのか
- どのくらい続いているのか
- 疲労や睡眠障害などを伴っているか
などを詳しく確認します。
線維筋痛症の診断では、症状が少なくとも3か月程度持続していることも重要です。
以前は「体の何か所を押して痛いか」という圧痛点が重視されていましたが、現在は圧痛点だけで診断するものではありません。
線維筋痛症の治療は?
治療の目的は、「痛みを完全にゼロにする」ことだけではなく、痛みを軽減して日常生活の質を改善することです。
そのため、薬だけではなく、薬物療法と非薬物療法を組み合わせて治療します。
■ 薬による治療
症状に応じて、
- プレガバリン
- デュロキセチン
などが治療の選択肢になります。
薬を飲めばすべての痛みがなくなるというわけではなく、症状を軽減する目的で使用します。
眠気、めまい、ふらつきなどの副作用にも注意しながら、患者さんごとに治療を調整します。
■ 薬以外の治療も重要です
線維筋痛症では、非薬物療法も治療の重要な柱です。
例えば、
- 運動療法
- リハビリテーション
- ストレッチ
- 睡眠の改善
- 認知行動療法
などがあります。
運動療法では、患者さんの状態に応じて有酸素運動や柔軟運動などを少しずつ取り入れます。
痛みがあると「できるだけ動かない方がいい」と考えてしまいますが、長期間の過度な安静によって筋力や体力が低下すると、さらに活動しにくくなる場合があります。
大切なのは、無理をして運動することではなく、自分のできる範囲から少しずつ活動量を増やしていくことです。
こんな症状がある場合は、線維筋痛症と決めつけないで
次のような症状を伴う場合には、別の病気が隠れていないか特に注意が必要です。
・発熱が続く
・原因不明の体重減少
・関節が赤く腫れている
・明らかな筋力低下がある
・痛みが急激に悪化した
・手足が動かしにくい
・麻痺がある
・排尿・排便の異常がある
このような場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
何科を受診すればいい?
「体中が痛いけれど、何科に行けばいいのか分からない」という方も多いと思います。
まず内科などで、痛みの場所や経過、発熱、関節の腫れ、筋力低下などを確認し、必要な検査を受ける方法があります。
その結果によっては、リウマチ科、整形外科、脳神経内科、ペインクリニックなどの専門医療機関への受診が必要になることがあります。

体のあちこちの痛みが3か月以上続いている場合や、痛みに加えて疲労感や睡眠障害などがあり、日常生活に支障が出ている場合には、一度医療機関へご相談ください
以上、全身が痛いのに検査は異常なし?線維筋痛症の症状・検査・治療について解説、という話題でした。
この記事が、皆様の生活 (ライフ) のお役に立てれば幸いです。
最後まで読んでくれて、ありがとうございました。



